マイナンバーカードを健康保険証としても使う「マイナ保険証」で別人情報が誤って登録されるトラブルが相次いだ問題を受け、加藤勝信厚生労働相は23日、「大変申し訳ない」と謝罪した。
マイナ保険証に別人情報が登録されるミスはこれまで判明しているだけで7300件超。流出の恐れがあるのは受診履歴など慎重に扱われるべき情報で、問題を解消できなければ制度への信頼を根幹から揺るがしかねない。
ただ、同様のミスが相次いだのは初めてではない。2021年にマイナ保険証の本格運用を開始する前にも、他人の情報をひもづけるミスが3万5千件判明。本格運用の開始は半年延期された。
このときも一斉点検をしたり、新旧のデータに矛盾がないか自動で突き合わせるシステムを導入したりして、対策をとっていたはずだった。
だが、誤登録は防げなかった。厚労省の担当者は「加入者の出入りは膨大で、頻繁にある。すべてのチェックは行き届かなかった」と話す。
トラブルが発生した後の対応の遅さも際立つ。
同省は23日に一斉点検の方針を示したが、7千件以上の誤登録があることは3カ月以上前から把握していた。誤登録された本人がSNS上で問題について発信したことをきっかけに注目を集めるようになり、ようやく対策に乗り出した格好だ。
同省はこれまで、健康保険組合などに対して、氏名、生年月日、性別、住所の4情報で確認するよう求めていた。ただ住所の確認を省くなどこのルールが徹底されず、誤登録につながった。同省は見込みが甘かったことを認め、「4月からは漢字氏名、カナ氏名、生年月日、性別、住所の5情報すべてが一致するように確認を徹底することにルールを変えた」とし、一元的なチェック体制の構築を目指すという。(村井隼人)
利便性より目立つ「副作用」
「広まるまで待とうという感じだったが、いまは(マイナンバーカードの申請が)9700万枚。持っていることを前提とするサービスを導入できるようになってきた」
19日の参院特別委員会。マイナカードの民間活用について問われた河野太郎デジタル相は、カードの普及率と利便性を「鶏と卵」にたとえて、今後の広がりに自信を見せた。
2016年に交付が始まった…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル